税理士がAIを使いこなすなんて、誰も期待していない
先日、SNSでこんな投稿を見かけました。
セミナー後、所長先生にこう聞かれた。「うちの顧問先がAI使い始めたらどうする?」——税理士にとっての脅威は、競合事務所じゃなくて「顧問先の方が先にAIを使いこなす」ことかもしれない。
この投稿主は「ゾッとした」と書いていましたが、正直なところ私の感想は違います。
そりゃそうでしょう、と思いました。
税理士がAIを使いこなすなんて、誰も期待していません。税理士はテクノロジーの専門家ではないし、そもそもそういう職業ではない。だから、お客様の方が先にAIを使い始めるのは当たり前のことです。驚くような話ではありません。
ただ、「当たり前だから仕方ない」で終わらせていいかというと、それは別の話です。
お客様がAIを使って業務を効率化し始めたとき、顧問税理士がその話についていけないとしたら——それはお客様にとって損です。
AIを使わない税理士に何が起きるか
たとえば、あなたがCopilotやClaude Codeでコーディングを効率化し、浮いた時間で案件をもう1本受けたとします。あるいは、AIを使ってクライアントへの提案資料を自動生成するワークフローを組んだとします。
こういった取り組みを始めたとき、顧問税理士に相談できますか?
「AIツールの月額費用は経費になりますか?」くらいの質問なら、どの税理士でも答えられます。それは単なる仕訳の話だからです。
ただ、「Copilot BusinessとClaude Proの両方を契約しているが、業務使用割合をどう整理すべきか」「AIで開発効率が上がって売上が増えたとき、法人化のタイミングをどう考えるか」「GPU搭載マシンをローカルLLM用に買いたいが、10万円を超える場合の減価償却はどうなるか」——こういった具体的な相談は、AIを自分で使ったことがない税理士には答えられません。
使ったことがないものについて、具体的なアドバイスはできない。これはどの分野でも同じです。
なぜ税理士の私がここまでAIに入れ込んでいるのか
今、産業革命に匹敵する変化が起きています。大げさではなく、私はそう確信しています。
ホワイトカラーの業務のほとんどは、すでにAIで処理できる段階に入っています。文章を書く、データを整理する、書類をチェックする、報告書を作る——こういった作業は、AIに渡せばかなりの精度でこなせます。この変化はもう確定していて、あとは世の中にどれだけ速く浸透するかだけの問題です。
私がAIを触り続けているのは、この変化に驚いているからです。衝撃を受けていて、正直に言えば興奮しています。
具体的には、Claude Code(Anthropic社のAIコーディングツール)を使って、税務業務を効率化するアプリケーションを自分で開発しています。仕訳データの自動処理、確定申告書類のチェック、顧問先への報告書生成——こういった作業を自動化する仕組みを、日々改善しながら運用しています。この記事を掲載しているウェブサイト自体も、AIと一緒に設計・開発したものです。
そしてこれが、まったく苦ではない。楽しいんです。
開発の履歴はGitHubに残っています。直近1年のコントリビューションはこんな感じです。

3,761回の変更を1年間で記録しています。 エンジニアの方であればこの草の濃さが何を意味するかわかるはずです。税理士がこのペースでコードを書いている、というのはなかなか珍しいと思います。
AIへの感度は、投資判断にも直結する
AIに触れ続けるメリットは、業務効率化だけではありません。投資の判断にも直結します。
半導体、GPU、製造装置——この領域でカンブリア爆発のような成長が起きています。NVIDIAの株価は過去5年で何十倍にもなりました。結論から言えば、ほとんどの人は、過去5年間、自分の事業に投資するよりNVIDIAの株を買っていた方がリターンは大きかった。 これは事実です。
この事実をちゃんと調べて、理解して、「じゃあ今、自分のお金をどこに置くか」を毎日考えています。事業に投資するのか、AIの成長に賭けてGPUを作っている会社や製造装置メーカーに投資するのか。あるいは、その両方をどう配分するのか。
こういった視点は、顧問先にもお伝えしています。時間を労働に費やすのか、投資に費やすのか。事業で稼いだお金をどういうポジションで運用するか。税理士だからといって税務だけをやっているわけではなく、こうした投資の観点を持って日々の仕事をしています。
エンジニアの方は技術的にAIの仕組みを理解している分、この投資判断の勘所もつかみやすいはずです。普段触っているGPUやクラウドインフラの裏側で、どれだけのお金が動いているか。その流れを理解した上で投資判断ができるのは、エンジニアの強みです。
フリーランスエンジニアにとって、それが何の得になるのか
「税理士がプログラミングしてるのは面白いけど、自分の確定申告に関係あるの?」
関係あります。2つの意味で。
1. 経理業務の生産性が上がる
AIを使って業務を自動化しているということは、同じ作業をより速く、より正確に処理できるということです。
たとえば、クラウドサービスの請求書からの仕訳入力、複数の決済サービス(Wise、PayPal、国内振込)の入金データと売上の照合、クレジットカード明細の分類——これらの作業にAIを組み込むことで、処理速度が上がります。その分、お客様の経営数値を分析して改善提案を考える時間に充てられます。
従来型の税理士事務所では、スタッフの大半の時間が記帳代行と申告書作成に消えます。AIを使えばその比率が変わる。経理作業が軽くなった分だけ、顧問先への付加価値が増えます。
2. 技術的な会話ができる税理士に経費判断を相談できる
フリーランスエンジニアにとって、経費の判断は地味に面倒な問題です。
「自宅の電気代のうち、GPU回してる分はどう按分するか」「GitHub Copilot Businessの年額は研修費か通信費か」「技術カンファレンスの海外渡航費はどこまで認められるか」「個人開発で使っているサーバー費用は事業経費にできるか」——こういった判断は、エンジニアの業務内容を理解していない税理士には説明コストがかかります。
当事務所は、AIツールやクラウドサービスを自分でも日常的に使っています。だから、「Claude ProとChatGPT Plusの両方を経費にしたいが、用途をどう整理すればいいか」と聞かれたとき、そのツールが何をするもので、業務にどう関係するかを理解した上で回答できます。説明コストが減る分、本題の経費判断や節税の話に時間を使えます。
同じ顧問料で、何を受け取るか
誤解のないように書いておくと、当事務所の顧問料は相場と大きく変わりません。
つまり、ほぼ同じ金額で、2つの選択肢があるということです。
- 従来型の事務所: 記帳と申告をきちんとやってくれる。それ以上でもそれ以下でもない
- 当事務所: 記帳と申告に加えて、AIを活用した業務改善の提案、経営数値の分析、将来の事業計画の相談ができる。技術的なバックグラウンドがあるので、エンジニア特有の経費判断もスムーズ
どちらが良い・悪いという話ではありません。記帳と申告を正確にやってくれれば十分、という方には従来型の事務所で何の問題もないです。
ただ、「せっかく顧問料を払うなら、もう少し踏み込んだサポートがほしい」「技術的な話が通じる税理士に相談したい」——そう感じている方には、当事務所の方が合うかもしれません。
お気軽にご相談ください
「AIの話もいいけど、まず確定申告をなんとかしたい」——それで構いません。
初回の面談で、あなたの業務内容や取引の状況をお聞きした上で、「この経費はこう整理しましょう」「法人化はこのタイミングが有利です」という具体的な話をします。もちろん、AIツールの経費計上や投資の相談もできます。
確定申告の丸投げ対応や経理業務のサポートなど、税理士としての本業も変わらず対応しています。AIの話に興味がなくても、経理を丸ごと任せたいという方も歓迎です。
まずはお問い合わせフォームから、お気軽にご連絡ください。
